老後のためにコツコツ2000万円貯めていても、リストラされたり、転職に失敗したり、病気をしたりして、
貯金がみるみる減っていき、ろくな貯金がないまま老後を迎えることになるかもしれない。これに対し、「カネを使わずに人生を楽しむスキル」という資産は、たとえ不運が重なって
生活保護で暮らすようになったとしても、がっつり残る。「カネを使わずに人生を楽しむスキル」は、これ以上ないくらい、安全で確実な資産なのだ。
結局のところ、遊びを楽しむには、カネよりもむしろ「遊びを楽しむスキル」の方がキモだということだ。
老後の楽しみとして旅行を挙げ、「老後にお金がないと、旅行にもいけない」と嘆く人がよくいるが、
旅行という、お金さえ出せば誰でも簡単にできちゃう消費活動に、自分の人生の幸せを委ねるというのは、
お金に依存しすぎている、というか、それを超えて、もはやお金中毒になってしまっているのではないだろうか。旅行に行きたいなら、何年もかけて地球科学と歴史の基礎体力をがっつり蓄積した上で、
自宅から電車で往復2000円で行ける範囲の地理と歴史を自分で調べてセルフブラタモリするだけでも、
はるかに面白い旅行になるし、何ヶ月どころか、何年も楽しめるし、飽きない。
よく、「最近、面白いテレビ・映画・マンガ・アニメ・ゲームがない」
「なんか楽しいことないかな」などと言って、つまらなさそうにしている人は、
このことを理解していないことが多い。「楽しいことがない」のではない。「楽しむスキルがない」のだ。
(ふろむだ)