エース

将来の夢は、全日本でやることです。
日本のためにサッカーをやっていきたいと思います。

三浦知良・18歳)

このチームの中で、自分のためでなくて、すべてをチームのために尽くせる選手、
ということで、彼(カズ)を必要としています。

外れるのは、市川、カズ・・・三浦カズ、それから北澤、3選手です。

そして、私の見込みが甘かったせいもあり、選手は予想以上にショックを受けており、
チームに影響力が強いことも考えて、カズと北澤に関しては僕の判断で帰しました。

カズに関しては、トップの中で今、城(彰二)を柱として考えていて、
アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカという試合を想定した場合に、
使うチャンスがないと判断しました。

 

※1998年 フランスW杯メンバー22名(25名)

監督 岡田武史
GK 小島伸幸川口能活楢崎正剛
DF 名良橋晃相馬直樹井原正巳小村徳男服部年宏斉藤俊秀秋田豊中西永輔、(市川大祐
MF 山口素弘伊東輝悦中田英寿名波浩小野伸二森島寛晃平野孝、(北澤豪
FW 中山雅史呂比須ワグナー岡野雅行城彰二、(三浦知良) 

岡田武史・41歳)

岡田監督もね、何様のつもりでいるのかなっていう。
人の人生ナメてるんじゃないかなっていう気持ちで。

(カズは) 日本のサッカーここまで引っ張ってきた人間だし、一人の人間だからね。
なんでそういう事になったのかなと思ってね。

ラモス瑠偉

カズを落とすのであればね、最初から連れて行かなければいい。
そういう、カズに対する・・・プライドをズタズタにしたなっていう感じでね。
もうよくやってくれたなっていう感じですよね。

柱谷哲二) 

(合宿所を去るカズと北澤に対して)

俺、がんばります。

小野伸二)  

(別れ際、何も言えずに茫然と見送る井原と中山に対して)

俺らが帰るのは、チームに迷惑をかけないってことだから。
その分、がんばってくれないと困りますよ。

北澤豪

こういう形で帰ってくるとは、自分でも思っていなかったですけど。
自分がずっと志して、W杯を目標にやってきて、このような形で帰ってきたわけですけど。

自分の人生もそうですけど、サッカーもまだまだ続くと思うし、
自分のサッカー人生もまだまだやり残していることもたくさんあるんでね。
前向きに目標を持ってまた頑張りたいなと思いますんで。

プライドを持ってね、今まで誇りを持って日本代表でやってきたので
それは絶対に自分自身納得してはいけないことでもあるしね、外れたことに対して。
でも目標を新たに持って戦えばいいんだということで。

別にこういうことは初めてじゃないんで。
ブラジルでもイタリアでも、海外出てた時に割としょっちゅう言われたし。
特にブラジルの時なんかは、10代でまだプロの世界が分かんない時、1試合出て
結果出せなかった時、半年以上紅白戦すら使われない時もあったし。

それから比べればまだまだサッカーもやらせてもらえるし、ヴェルディでも戦えるし、
日本代表の道だってまだまだ残ってるし。
そういう意味で挫折感とかは自分で持たないようにしてます。

日本が一次予選をとにかく突破して、決勝トーナメントに行けるように願っているし、
北澤も僕もこういう形で帰ってきましたけど、自分たちのサッカーの、日本代表としての誇り、
魂みたいなものは向こうに置いてきたと思っているんで、絶対頑張ってもらいたいです 。

三浦知良・31歳)

(98年フランスW杯全敗、エースとして起用されたが無得点で帰国後)

空港で水をかけられて、帰宅するときに、カズさんから電話をいただいて。

水をかけられたぐらいでクヨクヨしてたら日本のエースは務まらないぞ。
俺なんてパイプ椅子を投げられたり、生卵をぶつけられたり、いろんなことがあると。
それが日本のエースなんだ、ってことを仰ってくれて。

こんなのに絶対負けんなよと。
絶対に見返してやれ、っていう電話をいただいたんですよね。

うわぁ、この人すごいなぁっていうか、
ただの日本のエースストライカーではないんだなっていうことをその時に感じて。

カズさんの偉大さを感じたし、自分もあの一言があったから辞めずに続けられたのかなと思いますね。

城彰二

(目前で2度、W杯に出場できなかったことは、その後のサッカー人生にどんな影響を及ぼしたか?)

それはちょっとわからないですね、正直なところわからないです。

ドーハの悲劇と言われている93年。98年はW杯へ行く寸前で代表落ちした。
あれがあったから、今でも歯を食いしばって、やり続けるぞって思って、
まだW杯を目指してやっているのか・・・。

サッカーも含め、自分がこうしてやってられるのは、いいことばかりではなくね、
自分の描いた目標や夢が叶わなかった、寸前で断たれた、そこでやっぱり、
なんで自分は行けなかったんだろうっていうことを考えたときに、
自分自身に問題があったんだろうなっていう風に考えられる、
そういうことを経験して自分自身にぶつけられるメンタルだったりとか、
ああいう出来事が僕を強くしてくれているんではないかなと思うんで。

今でもそういう出来事が心の支えになっていることは確かと思いますね。

三浦知良・50歳) 

(2022年カタールW杯で、選手選考枠が23人から26人に増えたことについて)

たった3人かと思うかもしれませんが、ものすごくいろいろなパターンが考えられる。
3人増えるというのは、かなり監督としてはいろんなことが考えられる。
組み合わせ含めて。

23人の場合、決勝まで進んでも1回も出ない選手が出るんです。
26名になると、もっとそういう可能性がある選手が出てくる。
そういう可能性のある選手に、どういう選手を置くかも、一つチーム作りには大きなポイントになる。

例えば僕の時 (2010年) は、川口能活チームキャプテンにしました。
川口が残り組の練習を一生懸命やってくれたら、若い選手は文句を言えない。
彼がボールを片づけたりいろんなことをしてくれたら、チームがグッと締まる。
そういうメンバーの選考もある。

そういう意味では、26名に増えたら、もっといろいろな可能性が増えますよね。

 

※2010年 南アフリカW杯メンバー23名

監督 岡田武史
GK 川口能活楢崎正剛川島永嗣
DF 中澤佑二田中マルクス闘莉王駒野友一岩政大樹今野泰幸長友佑都内田篤人
MF 中村俊輔稲本潤一遠藤保仁中村憲剛松井大輔阿部勇樹長谷部誠本田圭佑
FW 玉田圭司大久保嘉人矢野貴章岡崎慎司森本貴幸

(もしフランスW杯のときに選手選考枠が26人だったら、選考は変わりましたか?)

それは分からないけど、僕はあの時、41歳でまだ監督をやったこともなかった状況だったけれど、
その時に自分で選んだメンバーのことは、カズのことを言っているのだろうけれど、
全然後悔はない。

でも、それが経験を積んだ時に、カズをどうしたかというと、それは全然違ったと思う。
しかし、あの時の自分はチームが勝つためにベストを尽くした。
自分の私心というか、自分が有名になりたいとか、自分が成功したいというのではなく、
チームが勝つためを考えた自信があった。

だから別に僕は何とも思っていないし、それはカズもわかってくれていると思う。
だから今でも付き合いがある。

監督の仕事というのは、そういうこと。
自分が私心なくやったら、逃げ隠れすることは何もない。
チームが勝つために自分がベストだと思ってやっていることだから。

岡田武史・65歳)