2001年にアメリカに来てから2019年現在の野球は、まったく違うものになりました。
頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつあるような。選手も現場にいる人たちもみんな感じていることだと思うんですけど、これがどう変化していくか。
次の5年、10年、しばらくはこの流れは止まらないと思いますけど。
本来は野球というのは…、ダメだな、これを言うと問題になりそうだな(会場笑)
うーん、頭使わないとできない競技なんですよ、本来は。
でもそうじゃなくなってきているというのがどうも気持ち悪くて。ベースボール、野球の発祥はアメリカですから、その野球が現状そうなってきているということに
危機感を持っている人っていうのが結構いると思うんですよね。
(イチロー)
状況をどう読むか。
守備位置はどうか。
野手の能力はどうか。
投手はどんな攻めをしてくるのか。
その中で得点につなげるには、どんなアプローチがベストなのか。
ありとあらゆる引き出しの中から、最善策を探す。
投手のデータも頭に入れ、どう角度をつければヒットになるかも把握している。経験、データ、技術。
すべてが集約されてはじめて、1本のヒットにつながり、得点を生む。しかしながら今、どうにもそうした頭を使った複雑なプロセスが軽視されているのではないか。
イチローは、データそのものを否定しているわけではない。
危惧しているのは、それとの距離感なのである。
(丹羽政善)