人口減少の本質は少子化ではなく「少母化」である

少子化といっても、1人のお母さんが産む子どもの数は1980年代とたいして変わってはいない。
そういうと、信じない人が多いのですが、事実です。

合計特殊出生率とは、15~49歳までの全女性の年齢ごとの出生率を足し合わせて算出したもので、
1人の女性が一生に産む子どもの数の平均とみなされる統計上の数値です。

しかし、多くの人が勘違いしていますが、全女性という以上、この中には、15~49歳の未婚女性も母数に含まれます。
よって、未婚率が高まればそれだけ自動的に下がることになるのです。

分母のほぼ半分が未婚者で占められるまで未婚率が増加しているのですから、出生率の値が下がるのは当然です。
ちなみに、皆婚時代と呼ばれた1980年の同年齢帯での未婚率は30%でした。

出生数が減っているのは、別に世の母親の出産意欲が減っているからではなく、
未婚者の増加=婚姻数の減少によるものが大きいと判断できるかと思います。

政府や自治体の少子化対策においては、長年「子育て支援の充実」がメインとして論じられてきました。
もちろん「子育て支援」そのものを否定するものではないですが、子育て支援を充実させれば少子化は解決する」
という論理は的外れ
であることは今までの数字を見ればお分かりいただけると思います。

(荒川和久)