(周りがみんな、君を悪く言っているよ)
…放っておけばよかろう。
別に我らに直接害を与えぬ限り、なにを言わせても良いような気がするぞ。
だいたい、いちいちそういう人間を殺していたら、我らは世界の半分以上を滅ぼさねばならんではないか。
やってもいいが、後始末を考えると私はあまり世界を滅ぼすのは好きではないな。どうせなら、猫の観察の方が良い。
そなたも、そう思わぬか?
…いや。
まさかと思うが、そなた世界の思想を統一化せねばならんと思っているのか?そうだとしたら、我ら芝村すら思い付かぬような、恐ろしいことをよく考える。
そなた、剛毅だな。
忠告するが、今すぐ思想統一事業などやめよ。
めいめい人が勝手なことを言うのはそう悪いことではない。私はネズミが嫌いだが、猫はそれがないとさびしく思うであろう。
そうであれば、自分の都合でなんでもしていいという訳ではない。
人も同じことだ。
殺すのは簡単だが、いかなる我らして死者は蘇らせられぬ。
覆水盆に返らず。軽々しく力は使わぬが良い。話を聞いているのか?そなたのことだぞ。
だが…そなたの心遣い、嬉しく思う。
私のために進言したこと、嬉しかった。
礼を言う。
(芝村舞)