0点に抑えるのだけがナイスピッチングではない

細かいことは言ってないんですけどね、「困ったらど真ん中に投げろ」と言ってたんで。
そういう気持ちも大事だよっていうのを、ずっとこれからも教えていきたいので。

なかなかね、バッターも(ど真ん中を)打つのは難しいんだよ、
っていうのを教えてあげてるんですけど。

まぁ多分、「打たれちゃいけない」とか、そういう邪念が入ると、
コントロールミスを余計するっていうのがあるので、
「打たれてこい」っていうテーマをわざとやってみたんですけど。

なかなかね、(バッターが)初球を振る勇気っていうのもやっぱり、すごく難しいですし。
そういうことを知っているからこそ、「ストライク先行でいこうよ」とか、
っていうのはね、言っているつもりなんですけどね。

「フォアボールの数を減らせ」って言うと、余計気にして増えるんですよ。
なので、そこは敢えて言わない。
だからこそ「打たれよう」って、違う言い方をしているんですけどね。

そういう極端なアドバイスで、多少気持ちが楽になるんだったら、
まぁそれは言って良かったなと思いますし、その気持ちはずっと1年間
持たせてやらせたいなと思いますね。

(現役時代は)たくさんミスしたからね、自分のエラーで試合に負けたこともあるし。
4番を張ってる時は、自分が打てなくて負けたらミスと一緒と思ってやっていたので。

だからこそ「(ミスをしたとき)どうするんだ」っていうね。
だからこそ上手くなるんでしょうし。

「次は絶対しないぞ」とか、たぶん人間だから、しないぞというか絶対したくないはずなんですよね。

(現役時代、ミスしたときの写真を自分のロッカーに貼り付けていたことについて)

あれがあったからこそ、油断だったりとか、そういうのをしないようにできた。
その写真を見て、チラッとでも見れば、すぐに思い出したりできるんで。

よくね、「ミスしたら忘れて切り替えていけ」って言うけど、ダメなんですよ忘れちゃ。
「忘れないで、切り替えていけ」って言えばいいんです。

「今のミスは忘れるなよ」って言って。
「その分、どっかで取り返してこい」って言えばいいんです。

0点に抑えるのだけがナイスピッチングかと言ったら、そうじゃないと思いますし。
失点した後も、しっかり抑えて帰ってくる。そこでガタガタッと来ない。
それがナイスピッチングかなと。

阿部慎之助