かつて山中貞則さんっていう、自民党税調のドンって言われてる人がいたんですよ。
この方いわく、日本の税制は「熱海の旅館」だと。
高度成長期の頃に、熱海が観光地としてスタートをして、そのときは本館しかなかったんだけども、
どんどん人がやってくるようになって、別館が建って、新館が建って。熱海って結構、勾配地にあるじゃないですか?
だから隣に建てても、ちょっと高台になってたりして、2階と3階がつながって。
そのうち展望風呂もいいよねとか、ここに大広間作ろうとかね。
そうすると、熱海の旅館にいると、自分がどこにいるのか皆目見当がつかなくなってくると。
これが日本の税制、つまり言ってみれば、いろんな改正を続けた結果、非常に複雑怪奇な、
迷路のような状況になった。
山中さんは、財務省の官僚よりも、自分のほうが税制について詳しいって言うわけですよ。
だから逆に、自分が決めたら、財務省はそれを否定・批判できないと。そういった意味でいうと、自民党税調の力の根源は、財務官僚よりも税制に詳しい人達が
いた時代の名残なんですよ。今はいませんよ、そんな人は。
でもその仕組みだけが残っちゃった。
でもこれはね、換骨奪胎して、結果的に財務省は自民党税調のオブザーバーとして入ってる。
つまり、議決権はないけども、口を挟むんですよ。そうすると、この馬鹿な連中を自分たちでコントロールしたほうが、財務省にとって
より有利な、より美味しい税制が作れるじゃないかと。この自民党税調っていう組織を、そのままいただいちゃおうっていうのが、今の動きですよね。
(須田慎一郎)
そのパターンって結構あって、たとえば経済財政諮問会議なんかも、元々は財務省が予算を
決めてるところに、ちゃんと政治力を発揮してやろうじゃないかって創ったんですけど、
いつの間にか中が財務省派ばかりになってしまっていて。
税調もそんな感じになっていてしまってますよね。
特に宮沢税調会長は元大蔵官僚ということで、完全に財務省と自民党税調の内輪で
日本の税制が決まってるって、結構これ危険な状況なんじゃないかなと。
財政主権が失われている。
(三橋貴明)