歌詞が「刺さる」とかみんな言いますけど、
それはやっぱりその方の経験とかがグッと来るものがあるし、
創作になっても、匂いとして出るじゃないですか?実体験が。だから、完全な創作より、その人の人間味が出てる方がいいかなと。
創作だとしても、実体験が漏れちゃうというか。
漏れない完全な創作は、ちょっと興味がないかも知れないですね。
(永野)
よく洋楽とかで、元カレの悪口の歌とか結構多いなと思いですよね。
そういうのは聴いてて楽しいですけど、英語もあんまりわかんないので。でも日本語でそれをタラタラ言われてもあんまり聴きたくないし、
そのアーティストの実体験の話ばかりが私の中に溜まっていくのは嫌なので、
創っていただいたほうが聴きやすい、音楽としては。
(齋藤飛鳥)
見たことあること、経験したことあることを、
見たことないもの、経験したことない比喩で聴かされたほうが、
創作物の言葉で聴かされたほうが、ハッとすることが多いのかなと思ったのと、実体験ということだけに縛られ続けると、その人間の底をついてしまうので、
幅が広がらないかなという意味で、創作の方がいいかなと。
(いいじゃないですか、幅が終わっても)
「ずーっと言ってんな」ってなっちゃうんじゃないかなっていうか。
ずっと言ってる良さもあるんですけどね。強いて言えば、創作多めのほうがいろんな歌詞が書けるのかなって、
歌詞を書かない人間は思いました。
(ハマ・オカモト)
ラップのリリックと、いわゆる歌詞っていうのは全く完璧なイコールではないので、
もちろん実体験のみを歌ってらっしゃる方もいますけど、歌うに足るような実体験をしてる奴が
実際どれぐらいいるのか。結構わりとみんなしみったれた生活をしてるんで、そんなもんを歌われてもなっていう
ところもありますし、創作の中に実体験が滲むって言いますけど、それは逆も然りで、
実体験を歌う時もその人なりの言い回しだったりとか、そこにその人なりの創作のセンスが
やっぱ出るんですよ。
たとえば、女性のことを「きみ」って呼ぶ人いないじゃないですか、実際は。
でも歌詞の中では「きみ」って歌ったりするのも、まぁ創作っちゃ創作だし。聴いてる人からしたら、それが実体験なのか創作なのかって判断のしようがないんですよ。
なので、別にそこに忠実にやる必要はないというか。
(日常っぽいテーマでも、比喩表現が創作に入るってことですか?)
良いカッコしたりとかもそうですよ。
ミュージシャンの不倫が報道された時に「そんな人だとは思わなかった」っていうのは、
普段は創作を歌ってるからなわけじゃないですか。実際は女遊びしまくってることを、歌いますか?っていうと歌わないですよね。
さっき僕が言った「歌うに足る人間がどれだけいるのか」「すぐに底をつくんじゃないか」
っていうのは、まぁぶっちゃけそれは才能のない言い訳で。本当にとんでもない奇想天外な、波乱万丈な生き方をしている人がいて、
その人が自分の人生について忠実に歌うなら、それは絶対に面白いはずなんですよ。
理想としてはそっちの方が良いに決まってるんです。ただ、それはなかなか難しいから、創作の方が良いと言っただけで、
本当の本当は実体験の方がいい。
自分が見たものをそのまま言って、何の脚色もせずにそのまま出して、
それが素晴らしい歌詞だったら、それに勝ることは本当はないし、
本当はそっちを目指すべきなんですけど、それができる才能がないから、
仕方なく創作をしている。
(呂布カルマ)