作品がアニメ化したことがある。
担当編集者は口を酸っぱくして
「アニメは二次創作!アニメは二次創作!コミカライズも二次創作だからな!」
というのを言っていた。
だったら勝手にやってくれよと思うが、そうもいかない。
・キャラデザチェック
・脚本チェック
・色関係のチェック
・アーティストのチェック
・コンテチェック
・アフレコチェック(あと、1回だけ効果音やBGMつけるところにも参加した)
・グッズチェック(見本が大量に送り付けられてきてウザい)
・担当編集とのやり取り
・描き下ろし各種
・宣伝物販促物チェック
・SNSでの宣伝自作品がアニメになることで純増したのはこの辺の仕事。
作家さんによってはもっと色々チェックしている人もいるだろうし、
逆に俺はそこまで見させてもらってないけど?って人もいるだろうけど。ちなみに勿論無給。
(それに対して文句を言っているわけではないし、報酬を渡されても困る)
担当氏はアニメ化作品をいくつも手掛けている人間で、
「普通作家さんにはここまでお見せしないのですが先生だけ特別」
とかなんとか言ってすごいチェック物を送りつけてきつつも、
「そんなもん俺わかんねえよ」みたいなところは
「まあここはお任せってことでいいですよね」で気持ちよくスルーさせてくれた。てか、コンテとかキャラデザとか脚本とか見せられてもわからないんだよね。
オープニングとかエンディングの歌手も言われても正直わからない。「今をときめく歌手」じゃなくて「業界内で次にくるとされている歌手」を起用されたし。
(ちなみにその後本当に有名アニソン歌手になった)
アフレコで、「このキャラってこういう演技でいいですか?」って言われても全然わからん。
担当氏はバリバリ演技指導しててすげえなって思った。勿論チェックで、
「ここはこうで」とか「これはイメージと違います」ってのは伝えさせてもらったけど、
実のところ、それで完成品のクオリティが上がったのかはよくわかっていない。
俺はアニメ脚本のプロじゃないし、映像のプロじゃないし、デザインのプロじゃないからだ。作画関係、神作画になってほしいなーって言ったけど、担当氏は
「それはうちでコントロール効くところじゃないから無理」と一刀両断だった。話に関してはバレるからあんま言いたくないけど、オリジナル展開も結構挿入され、
それがかなり好評だったので地味に凹んだ。
担当氏は「そんなもんだよ!」みたいな感じで笑ってたけどね!
とにかくメディアミックスはみんなが思っているより大変で、地道なもので、
どの領域にどの程度口を出せばどういう修正になって、どういう完成品になるのか
まるで想像がつかない。お互いがお互いを尊重するといえば聞こえはいいが、
それはお互いの仕事の妨害に直接的につながっていく。
だからこっちも発言は配慮したし、向こうも投げてくるものは配慮がある。「原作者に荒神みたいになられても困るんだよね。祈るしかないから」
とは担当氏の言だが。原作通りにという思いはみんなあるだろうけど、
その負担が作家や出版社側にいかないような形にして欲しいね。
あと、第三者委員会に監修を委託とかは大反対。
登場人物を増やして調整を増やすことに意義があるとは思えない。上にも書いたようにただでさえ調整の仕事多いんだよ。
でもこれを第三者に委任する気にはなれない微妙な原作者心もわかってくれ。
担当氏ならいいけど、第三者は嫌だ。まあ、俺はあと3作品、5作品とアニメになるような作品を作る気でいるし、
いつか自分が満足するものに当たればいいやという気持ちでいるので、
その節は皆様よろしくお願いします。
(追記)
担当が演技指導→
モニタリングルームみたいなものがあって、
音響監督が担当氏と俺にキャラクターの演技がイメージに合ってるか聞いてくる。声優への直接の演技指導は勿論音響監督が行うよ。
誤解を招き申し訳ない。
(追記2)
契約書、読むのがめんどくさいんだよな。
代わりに契約書を読んでくれる信頼できる人間を探すのはもっとめんどくさいんだよな。
(増田)