賭け

僕らみたいに、自分の才覚で食っていこうと決心した人間は、勝つか負けるかの2つしかないんだ、本当に。
年齢によってチャレンジできる限界線っていうのがあって、その限界いっぱいまでチャレンジするのは勝手なんだけどさ。

その賭けには負けたんだ。
君の人生が負けたんじゃなくて、その賭けに負けたってこと正直に認めようよ。

賭けに負けたんだから、次の賭けなりなんなりチャレンジすればいいのに、負けたことを引きずるか、
もしくは負けたことを認めたくないので、ズルズルと伸ばしちゃってるわけだよな。

その状態では「作家になれなかった」「文章では食えなかった」という負け犬なんだから、次の人生を立ち上げるしかないんだ。
その立ち上げの時期が遅れてるのは、多分まだ前の賭けに未練があるか、前の賭けに勝ったか負けたかのね、結論を出したくないと思うんだけども。

とりあえず家族食わして生きていくことをちゃんと目標にしようよ。
そういう普通のことを目標にできないって思うのは、一番最初にやった賭けにまだこだわってるからだよ。
それは勝ち負けが出ちゃったんだからさ、もういいじゃん。

普通に真面目に、生きていくことだけを目標にした方が、俺らみたいな勝ち負けのある人生を選んじゃった人間は、それがなんかね、約束だと思います。

 (岡田斗司夫