負けも10個集めないと次のステージに行けない

いきなり公式戦に出ようとしない。

これどういうことかと言うと、やっぱ人間はね、基本ええかっこしいなんですよ。
ええかっこしいやから、「最初っからできてた」にしたいんですよ。
努力家よりも、才能の方がなんかすごいみたいなイメージがあって。

で、「才能 × 努力」が一番スペシャルみたいな言われ方もするんですけど、
皆やっぱ才能憧れがあるんですよね。

だから子供の時はみんな、テスト勉強してないって言ってみたり、
ラソン大会本気出さへんって言ってみたり。

結果はずらせないから、結果に対するアプローチで物語を創作して、
自分をよく見せようとするんですけど。

まぁあれはもう子供の時に卒業して、やっぱ地道にやるしかないですよね。
天才とかとてつもない才能の持ち主 ならいきなり100点取れると思うんですけど。

だからなんかやりたいことあって、自分で準備して準備して準備して発表するんですけど、
基本うまくいかなくて当たり前というか。

ただ公式戦に出るまでに、ちゃんと練習試合したり紅白戦したりして、
勝ったり負けたりをしとかないとダメなんですよ。 

小説で言うと、いきなり小説を書いて「この人すごい」ってなろうなんて思っちゃだめなんですよね。
やっぱりいろんな文章書いて、おもろいとかおもんないとか言われて、そういうのを経て
ようやく公式戦に出れるっていうとこですよね。

僕の周りにもいますよ、才能あるしセンスもあるし、面白いし、
なんやったら文章もうまくて、自分も書きたいっていう気持ちがあるんですよ。
だけど何もやらないんですよ。

要は、すごいものができて、みんなから称賛を浴びたいって思ってしまってるんですよ。

処女作でいきなりとか、そんなん無理なんです。
実際に発表して、自分のどこがダメかとか、逆にいいのかとかっていうのは、やってみないとわかんないから。

自分の身を守り、リスクを取らず、天才と言われたいっていう病いなんですよ。
そんなん無い。そんな天才やったらもう、10代20代で結果出してますね。

(まだ30代だったら、意識を変えてやり始めたら間に合う?)

全然間に合いますし、40代でも今すぐに考え方変えて、
「あ、そっか、負けも10個集めなネクストステージ行かれへんねや」
ぐらいの考え方に切り替えないと。

初戦を負けるわけにはいかない、で20年かけてたらバカすぎますよね。

これはね、でももう途中でプラン変えんのも怖いし、
僕が言うこういうことを聞きたくない人いっぱいいると思いますよ。
もう言わんといてくれそれ、みたいな。その渦中におんねん、みたいな。

又吉直樹