金を貸すということ

友達に金を貸してはいけない。友情が壊れるから、貸さないのが真の友情だ、
というようなことをいうひとがいますが、そんなたわごとは真に受けてはいけません。

それは友情が最初からなかったか、貸す金が惜しいだけの言い訳でしょう。

他人にお金を貸すというのは大変に難しい決断です。
あげるつもりで貸せというのもよく聞きますが、それは本当にそのとおりです。

どうせあげるつもりで貸すのであれば、「ちょっと真の友情っぽい、なにか」を
ゲットできる大チャンスですので、そのときの注意事項について話しましょう。

ひとつはお金の使途は具体的にはきいてはいけないということです。
貸すんじゃなくてあげるものだから、聞く必要はありません。
あと、返済方法についてもきいてもいけないし、まして約束させては絶対にいけません。

お金を借りる人というのは、だれも貸してくれない状態で頼んでくることが多いです。
そういうとき、話せば話すほど、無理なこと、実現できないことを約束してしまいます。
そして借りた後、その自分の言葉に縛られて、二度とあなたの目の前から消えてしまいます。
そのときは、心が弱っているでしょうから、自尊心を守るために、あなたを逆恨みする可能性すらあります。

本当に返せないひとほど、自分でも返せないことをぼんやりと自覚していますから、
「少しずつでも返す」とか「一生かけて返す。もらったつもりはない」とかいう、
本当のことをいっているんだと自分で信じられるギリギリの表現をしたがります。

そう思っているのは決して嘘ではありません。
毎月返すといっているひとは、間違いなく最初の1回目は、ほぼ振り込んできます。
ただし、だいたい、続いて2ヶ月までといったところでしょうか。

絶対に返すという偽りの言葉を信じるということは、友情ゲームという観点からは、
一見、正しいように思えますが、必ず負けますので、そんな言葉は絶対に許してはいけません。

なにも聞かず、黙って貸す。それが最善です。
返ってくるかどうかは相手の力量と運次第です。相手の人格とかは二次的な問題です。

返せないものは返せません。恨んではいけません。

川上量生