数の暴力

それぞれの社は独立した機関なわけで、別にみんなが同調しなきゃいけない理由は何もないわけですよ。
だからそれぞれがやればいいって話なんだけど、一方で「数の暴力」みたいなものも生まれてくるんですよね。

これってね、1クルー1記者の行いは尊いんですよね、
ちゃんと真実を追求したい、公正な報道をしたいって、そういう気持ちはわかるんだけど、
それでみんなで一斉にやっちゃったら、結局「数の暴力」になっちゃうんでね。

メディアスクラムじゃ情報を得られるわけがない。
それが終わった後にしっかりと自分の足で稼いで、一軒一軒ちゃんと家の人達を説得して話を聞きながら取材していくっていう、
地を這うような取材をしているからこそ価値があるわけなんですよね。

だから、我々は公益性のためにちゃんと取材してるんだって言うんだけど、結果的にそれがやってるのは単なるね、
なんだろう・・・烏合の衆のメディアスクラムにしかなってないっていうね。
正義の味方だと思ってやってるんだけど、周りから見るとメディアスクラムにしか見えないっていうね。

その視点の落差というか、内と外での見え方の違いっていうのを、もうちょっと認識したほうがいいんじゃないのかなと。

結局、それぞれの社は独立してる、番組は独立してるっていっても、やってることはまったく同じだったら
一般大衆からはそうは見えないですよね。

佐々木俊尚