ジャパネットイズム

(テレビ通販はオワコンか?)

ぼくはあんまりチャネルを、このチャネルが進んでる止まってるとかあんまり気にしないんですよ。
通販って主役は商品でありサービスだと思っているので、どのチャネルで伝えてもいいと思っていて。

テレビがそんなに数字が落ちてるかというと落ちてもないですし、逆に紙とかが伸びてたりするので
まぁ特にオワコンというイメージはないですね。

※ジャパネットの売上高のうち、テレビ通販の割合は約25%。

(テレビ通販はシニア層が買うイメージだが)

年齢的には高いですよね。でもウチって別にターゲットがシニアではなくて、
自分でいいもの買いたいんだけど、いちいち調べるの大変だし面倒くさいよっていう方に対して
提案して、衝動買いでもしてもらって、絶対後悔させないっていうのがウチの考え方なので。

ある意味、言葉はちょっと強めですけど、堀江さんの言われてた「情報をあまり知らない人が多い」
というのは間違いないと思います。

Amazonへの対抗は考えないのか?)

2つあって、まず1つが、扱っている商品がAmazonさんが扱ってないものがいっぱいあるんですよ。
たとえば、テレビだと設置サービスまでやるとか、スマートフォンだとレッスンまでやる、設定までやるとか
ウォーターサーバも自社で水の会社を持っていますし、商品としてまったく違うものをやっているというのが1つ。

もう1つは、同じものをやっていたとしても、例えば掃除機をAmazonさんが50種類載せてたとしても
ぼくらは1種類で年間40万台とか商談するんです。
この1機種を、一番いいなと思うのを40万台、買い取りでやるので、スペックも価格も競争力があるんですよね。

絞ることで、そこに尖らせるっていうコンセプトなので、まったくフィールドが違うという捉え方をしてますね。

(商品も数百まで減らしたとか)

そうですね、9,000くらいあったのを、今は700商品ぐらいしかホームページでも扱っていないので。

ロングテールなのでどんどん載せようとみんなしちゃうので、ダメと。
777商品までしか載せちゃダメだというルールを社内で作って、一定量売れなかったり、
レビューが低いものはもう退場していくっていうやり方をしている。

で、その700商品を全部発注しておいて、在庫を持っているので、ウチは9割方その日に
すぐ送れる商品しかないっていう、そういう構成になっています。

(どっちかというとコンビニに近い。少品種を大量発注してコストを下げてる)

そうですね、もうまさに。
売れなかったら扱わないから、扱っているものは全部いいものになるという考え方ですね。

だから全然落ちてない感じはしてますね。
5個10個選びたい人は選べばいいと思うし、なんか選びたくない、いいの買いたい、
じゃあジャパネットっていう人が増えてくることが、ぼくらが目指しているところですね。

(そうするとリピーターも安心して買えるという印象がつく)

そうですそうです。
だから売上が伸びているのは、カタログ通販が圧倒的に伸びているので、
一回買った方に送ったものが売れているということですね。

(相変わらずテレビも売れてるわけですね)

下取りと設置まで全部電話一本で、持って帰ってくれて、組み立てて、箱も片付けてくれるので
それは便利だと言っていただいてます。

(それがリピートにつながるわけだ)

そうだと思います。

(近所の電気屋さんの代わりをしているわけですね)

その感覚はありますね。

(エアコン祭りって売れるんですね)

エアコンはたぶん、日本のコンシューマ向けの10%ぐらいがジャパネットですよ。
あまり知られてないですけど。

たとえばエアコン1機種で10万台の仕入れとかやるので。
10万台1機種で同じモデルで買う会社って無いので、競争力は高いと思います。

(他の会社は真似できたりしないのか?)

家電って原価率が高いので、通販に圧倒的に向いてないんですよ。

そこが参入障壁にはなっていて、父がカメラ店から始まったので家電が強くて
しかも佐世保にあるから、他の会社がどんなふうにやっているか情報が入ってこないんですよ昔は(笑)

だから自分たちで家電やるのも当たり前だし、テレビスタジオも自分たちで作っちゃうんですけど、
それも外部にそういう会社があるってわかんないので。

(物を売るノウハウはどこにある?)

たとえばこの商品って、堀江さんから見ると全然高スペックじゃないじゃんって商品だと思うんですよ。

たとえばテレビ、この商品を選ぶ時に、画面がちょっと大きめのものにしようとか、
機能も最大公約数の商品を選ぶようにはしてます。

これがいいって言うと、たぶんツッコミどころあるんですよね。
俺はこれでいいと思わない、っていう。

でも、100人いて50人がこれが一番いいっていえば、それが一番いいわけじゃないですか。
我々としてはそこに投資を投下して、商品を磨いていって、より多くの人にとっていいものを
訴求するっていう感じなので。

比較的通販ってツッコまれやすいのは、1個選んでこれがいいって言うと、
いやいやこっちもいいだろう、こっちもいいだろうっていっぱいいるのは当然なので
ぼくらはそこはブレずにやろうっていうのは決めてますね。

テレビで注文するかネットで注文するかというのはお客様が選ぶことなので。
混んでたらネットがいいですよっていいますけど、ネット通販のウチのページを見ると
電話番号が書いてあるんですよ。

別に分かんなかったら電話してもらえばいいって考え方なので。
コールセンターも自社の社員で1500人いるんですけど、外注せず自分たちでやっていて
そうすることで電話で話した相手(オペレーター)がちゃんとしているかっていうところも
すごくこだわっています。

単純に、買った方が満足するというのがもう大前提なので、そこを徹底的にやってます。

(社長交代のあと、ホームページをリニューアルしたそうだが、その特徴は?)

さっき触れましたが、やっぱり商品を絞ることでできることがいろいろあるので。
たとえば注文、全部在庫持っておいて納期が早いとか。

あとは全部に動画を載せてしまうんですよね。
700商品に45秒で完結する動画を、ウチのテレビ部署が撮っちゃうと。

そうすると、載ってる商品は全部動画で聞けるっていうメリットがあるので。
そこら辺もかなり効果的だなと思っています。

(45秒にこだわっているポイントは?)

最初、全部動画入れようってなった時に、何秒にしようかってなったんですけど
これ45秒か50秒か55秒か議論してもしょうがないんで、ぼくが45でいいよって言っただけです。
見て疲れないのは45ぐらいかなと。

あとはポイントを3つに絞ろうとか、電車とかで音聞けない人もいるかもしれないんで
文字は入れようとか。それぐらいですね。

(なぜBSチャンネルの開局を?)

BSチャンネルって、通販番組は3割しかやっちゃいけないんですよ、総量規制で。
総務省の規定で、7割は通販以外をやらなきゃいけないっていうルールなので。

なのでぼくらがやりたいのは、通販じゃない、地域の散歩番組とか。
で、そこで回ったのがホームページに載ってるとか。

あとは考え方を伝える番組とか。
けっこう物事の考え方を知らないだけで損している人がいっぱいいるので、
せっかくならBS局使って、今度は商品じゃなくて、サービスでもなくて、
考え方を伝えるみたいなチャンネルを作りたいなと思って参入しました。

Youtubeチャンネルじゃダメなのか?)

結局、ここまでYoutubeが広がっても、見ない方は見ないので。
ぼくらとしては、テレビはテレビの魅力をすごく感じていて。

何を探すかもわからない人っていっぱいいて、
テレビから流れてくる情報が自分の人生を変えていく
っていう世界の方もいっぱいいるので、
そういうところにちゃんとした情報をぼくらなりに伝えていけたらなって感じです。

幸いぼくらは通販を全部自社でやっているので、技術とか、機材は別にもうあるので
そういう意味でも、まぁやってみようかと。

合理的じゃないけど正しいだろうと思うことを愚直にやるのが、父の代からのジャパネット流なので、
たぶん客観的に堀江さんとかが見られたら、合理的じゃないよって思われることはいっぱいあると思うんです。

だけど、意外と合理的じゃないことの方が魅力的だったりする世界も多いなとは最近思っていて。

2024年にスタジアムができますが、そういう意味ではこれも合理的じゃないんですよね。
ここに700億かけるのって普通の感覚だとないことなので。

長崎がこれで年間通して地域創生に成功したら、日本中に地域創生が広がる感じがするので。
だからすごく意義があるなぁという感じです。

 (高田旭人)