同じものを作りたがらないし、昔の作品は昔のこととしてあまり振り返らない。
(安藤裕章)
昔のこと、それこそ『AKIRA2』を…なんて話をするのはもってのほかだよね(笑)
(カトキハジメ)
みんな初対面で大友さんのことを知らないときに、それ絶対言っちゃうんですよね。
『作ってくださいよ!』って。それで『やだ』って返される(笑)
大友さんを気にしていると、作品が作れないんですよ。
コピー機から大友さんのすごいコンテが出てくるのを見て、これはどうしよう、と(笑)だから、あまり気にしないようにやりましたね。
カメラのリアリティや絵の緻密さ、そして細かいセリフに至るまで、
すべて裏をとって調べているところがすごい。
(森田修平)
手で描くには画力がないと描きにくい角度やアングルってあるんですが、
大友さんはそれがサクっと描けてしまう人(笑)また、『MEMORIES』のときは実写と同様なドリーアップをしたいと言われたのですが、
それ以前のアニメにおいてはありえないカメラワークです。そんな、画にカメラの意識があるところが大友さんの魅力なので、
それを再現するために3DCGの力を借りたりしました。
(安藤裕章)
大友さんはいろんなこだわりがある人ですが、自分で全て描いちゃうんです。
絵コンテを原画レベルで描き込んでくる。
下描きの完成度が高くて『これよりすごい絵をどうやって作るの?』とプレッシャーになる。
大友さんは酒の席でいつも『同じものは二度と作りたくない』と言っている。
(土屋康昌)
イメージでは巨匠ですごく固い人を想像していたのですが、会ってみたら全然違った。
『FREEDOM』で初めて一緒にお仕事をしたときに、自分の作ったものをすごく喜んでくれて、
資料を持ってきて色々提案してくれるなど、気さくなところに助けられましたね。
(森田修平)
『MEMORIES』の現場に行ったら細い目をキランと光らせながら、きゃっきゃとエロい話をしている人がいて、
それが大友さんだった(笑)
(安藤裕章)
『SHORT PEACE』では好きにやらせてもらえたし、放任というかナチュラルで、大らかで、
そこが大友さんの良いところなんですよね。本当は、『武器よさらば』のプロテクションスーツのフィギュアを作らせてもらおうと会いに行ったんです。
そこで作品の素晴らしさを力説していたら、『君がアニメ作ったら?』って流れになって、
帰るときには監督をやる話になっていました(笑)
『武器よさらば』掲載時にリアルタイムで読んでいたのですが、
当時の世代にとっては忘れられないインパクトのある漫画だったんです。“パワードスーツもの”は今でこそありがちなジャンルになっていますが、
当時は海外SFのファンの間では話題になったものの、
日本で娯楽作品に仕立てた人はいなかった。20代の天才・大友さんはそれを、いきなり漫画表現として完成させてしまって、
後は全部その影響下の表現なんです。
そんな奇跡の作品であることを、若い人たちにも知ってほしいと思いますね。
(カトキハジメ)
みんな『AKIRA2』をやって欲しいんでしょう。
やらないけど。
あれ以来、ずっと下手な原画を直しているだけだった。
仕事しているのか直しているのか分からない。あんまり思い出したくもない…ふふふ。
辛いばっかりじゃ、しょうがない。
描いていて楽しくないとしょうがない。
(大友克洋)