母さんの体ってこんな小っちゃかったっけ?

今ラジオを聴いてくれているみんなもね、
父さん、母さん、爺さん、婆さん、いろいろ介護が必要だ。
けどやっぱり生身の人間だからな、粗末な対応はできないし。
かと言って意思の疎通もないし。
どうしよう?みたいなな。

やっぱり俺の経験から言ったら、そばにいて体をさすってやる。
もちろん意思の疎通はまったくないんだぞ。ないんだけど、
「母さん、元気か?早く、春になったらまた山菜、採りに行ってきてくれや。
頼むぞ、母さん」て言って、体をさすってやって。
もちろん本人は何の反応もしてくれなかったけど。

それでもやっぱり、
「ああ、親子なんだなぁ。俺はミヨちゃんから生まれたんだからなぁ。
ミヨちゃん、頑張れよ~」みたいな気持ちでな、体さすったり、声かけたり。
もちろん何の返事もないけど。

ただ、「母さん、俺は今コンサートで全国各地また回ってるから。
コンサートが終わったら、また会いに来るからな。それまで頑張ってくれよ」
って言って、三日もしないうちにか?息をひきとった。99歳。

それで、ちょうどコロナの時期とぶつかったから、家の中で葬式をやろうと。
その時に亡くなった母さんの腕をさすったら、冷たかった。
認知症であれ、何も分からなくても、病院にいた時の母さんは温かかった。
それが家に帰って来た時には、冷たかったし、それと何よりも、
「ああ、母さんの体ってこんな小っちゃかったっけ?」と。

俺がガキの頃、よく母さんに殴られたけど、こんな小さい体で俺のことを…
何とか悪い道に行かないようにしてくれたんだなぁって思ったら、
また一段と愛おしいと思ったなぁ。

今ラジオを聴いていて、介護で苦労されている方、
また、自分自身もいつかそうなるんだな、って思われている方、
これはお互い様ですから。
歳とるのは誰も一緒に歳とっていきますから。

この先生きて何やるんだ?みたいな気持ちになっちゃうけど、
だからこそ、今が大切だと思うんだ。
今やっておけることは今やっておこう。
明日に回してしまったら、ひょっとしたら、自分で分からなくなってるかもしれないもん。

できれば、最後まできちっと自分のことも、人様のことも、
いろんなことを理解しながら長生きしたいなとは思いますけど。
それにつけても、元気であること、絶対健康であること。

まぁこの俺が言うのはね、なんですよねぇ。
糖尿病と心臓病抱えてますからねぇ(笑)

松山千春