テレビ界の現状(33年前)

今日はご覧のように、スタジオに私しかいません。
見たい人だけ見ていただいたら結構です。
見たない人は消して結構です。
テレビなんて本来そんなもんでね、みんなに合うようなテレビなんてのは、そうそうあるもんやなし。

ドラマの一番最後に出てくるあのテロップ、私はいつも見ててわけわからんのです。
何のために出しているんですかね?

「このドラマはフィクションであり、登場する人物・団体は特定のものとは一切関係ありません」

言われんでもフィクションやってわかるっちゅうねん、普通の人間ならね。
昼間からバンバン撃ち合いするような警察がどこにあんねんと。

それ抗議してくるヤツがおるんですかね?
で、それが全部かと言ったら、ほんの一部分なんでしょ?
ほんの一部分のバカのために、他の者が迷惑をこうむってると。

政治とか、もっと重要な日本国民の明日の生き様に関係するようなことならともかく、
芸能やとか歌やとかドラマとか、所詮はエンターテインメントの部分にまでね、口差し挟んでくるんですもんね。

民間人が苦情を言うてくるでしょ、テレビ局に。それで枠がどんどんできるんですね。
その枠の中でしかテレビは作れないということになってくるんで。

面白いという意見ね、楽しかった凄かった良かったという意見だけでテレビ作っていけば、
もっと枠は広がっていくはずなんですかね。

テレビというのはメディアの一つですから、そう目くじら立てることもないし。
テレビの中で寸分間違ってはいけない、良いことだけしかやってはいけないっちゅうのは無いような気がするんですよ。

テレビ見ている人の目の方が今は肥えてて、僕がさっきから断片的にほざいてきたこともみんな
「当たり前のことやないかい、みんなわかってる」っていうことやったんでしょう。

でも、今更ながらにここでこんなことを言わないかんというね、これがテレビ界の現状でして。

上岡龍太郎・48歳)