子供にはファクトよりファンタジーを

僕はちょっとぜんぜん違うことを考えていて、科学とかファクトとかこそ
インチキというか怪しいと思っているから。

そんなものがあると思って頼ろうとしてるから、子供たちが困惑して、
むしろそれに勝る陰謀論に流されてると思ってるんですよ。

じゃあそしたらですよ、
科学的根拠がない、現実的じゃない話が全部怪しいかというと、

「人が見てないところで悪いことをしたら神様が見ててバチが当たるよ」

これは陰謀論なんですかね?
じゃないですよね。

僕らは科学的には証明できないけど、人間の生き様を頼りにするための
いろんな寓話とか、神話とか、おとぎ話みたいなものをみんな作ってきて、
子供たちが論理的にファクトかどうかってことを判断できないときからも、
なんか「こういう風に生きていかなきゃいけないんだ」とか、
「こういうことを大事にしなきゃいけない」ってことが伝わるような
ファンタジーやストーリーがあった。

だけど、僕らはだんだん「事実かどうか」とか「科学的かどうか」ってことを言い過ぎて、
子供たちが魅了されるような、面白くて、明るくて、前向きなストーリーを全然作れなくなって、
それでこういう怪しい陰謀論の方にばっかり取り憑かれてしまってると思うんですよ。

陰謀論はやっぱり興味をそそるような面白い話になってるから、事実以上の魅力があって、
事実やデータみたいなものでわからないものを上回ってしまったと思うんですけど、
事実やデータで判断しきれないものが陰謀論に負けない、更なるファンタジーや寓話とか、
「確かにそうだよね」と思って前向きになれるようなストーリーを作れなきゃいけないと思うんですよ。

僕らは、物語を作る力が弱くなりすぎて、質の低い物語に負けてんじゃないか。

そこで「事実だ」「ファクトだ」っていうけど、
それでわかりきらないことがいっぱいあるわけだから。

じゃあ、今回の地震は、地震のメカニズムはわかったけど、
何故あの地域で、何の罪もない人たちが地震に巻き込まれたの?
というメッセージに対して、大人はなんと答えるのか。

(若新雄純)