嫌だからやめる。
合わないからやめる。
やるからには本気でやる。
この三つの状態のどれかだけで行けばだいたいうまくいく。嫌なのにやめない。
合わないのにやめない。
やっているのに本気を出さないことで人生は蝕まれる。
「動く歩道」でたとえると、嫌なこと、合わないことを続けてる人は、
わざわざ逆向きに流れる「動く歩道」の上で前に進もうとしているようなものなんです。(好きなこと、得意なことをやってる人は)
ちゃんと進行方向に進む「動く歩道」に乗っている状態です。
そこまで頑張っているつもりはなくても、まわりより成果が出せる。
「得意」ってそういうことですからね。嫌いなこと、苦手なことをやっている人が「1」やって「1」返ってくるとすれば、
得意なことをやっている人は「1」やれば「10」返ってくる。
(どうして「苦手なこと」をやめられないんだろう…?)
答えは非常にシンプルで、“手にした「1」を手放せないから”です。
仕事がつまらなくても苦手でも、やめないということは、
「現状維持する価値のあるもの」を得ているわけです。「お金」だったり「世間体」だったり、人によってその正体はさまざまですが、
「1」やって「1」返ってくる現状を維持していたい…というのが、やめない人の本心。
その「1」が本当に自分にとって価値があるかは、きちんと確かめたほうがいいですね。
僕たちが抱えてるものって、案外“周囲から向けられた「期待」に応えるために
とりあえず手に入れたもの”だったりするので。自分の「好き」や「得意」がわからないから、
とりあえず「世間的に価値があるとされているもの」に手を伸ばしている
というケースは少なくないと思うんです。
(どうすれば自分にとって価値のあるものを見極められる?)
これは安易にオススメしたくないのですが…
パンク寸前の状況になるまで、自分を追い込むしかないと思います。人間が現状維持から抜け出すのは、
「手を打たなければ局面を乗り切ることができない」
という状況に陥ったときだけなんです。「変わる必要性」を本気で感じない限り何も変えられないし、
それは自分のリミット(限界)ギリギリでしか感じることはできない。それと同じで、
人は「何かを手放さなくてはパンクしてしまう」という状況に陥ってはじめて、
自分が抱えてるものが本当に必要なのかを考えられるんです。そこでようやく、捨てられるものがわかったり、
本当に大切なものが見つかったりする。
だからこそ、「やるからには本気でやる」べきなんです。
自分のリミットに近づかないと、変わる決断はできない。
本気でやらなければ、どんな道を選んだとしても
納得できるタイミングなんて一生来ないと思います。本気でやらないでずっと不平不満を言っている人生は、
もったいないですよね。
(為末大)