家賃と偏差値を上げない努力

編集者はクリエイターではなく、怠惰で無関心で平凡な読者の代表です。

庶民的な普通の感覚を持っている人が編集者になるべきで、
例えて言えば自分の“偏差値”を上げないことが大事だと思っています。 

20代のとき、編集者はどうあるべきかで悩み、導き出した答えが
「弱者の自分がこの世界で生きていくには、大衆の代表になるしかない」
ということでした。 

それをとことん突き詰めていくためには、偏差値の高い人と同じような生活をしていてはダメなのです。

そう考えて、編み出した独自ルールの一つが、引っ越すたびに家賃を1000円でもいいから下げていく、というもの。
他の人が生活レベルを上げていくなら、僕は逆に生活レベルを下げていこうと思ったのです。

お金がないのかと心配されましたが、そうではありません。
偏差値を上げないために、努力して住んでいたんです。

ベンチマークにしてずっと注視している書店も、町田を中心に展開するローカル書店チェーンの久美堂か、
巨大スーパー「ベイシア」の中なんかにある、本売り場のコーナーです。

都心の大型書店ではなくそういった書店こそが、日本における本のメインの売り場であるべきで、
しょっちゅう通っています。
ここにふらっと足を運ぶ人に手に取ってもらえる本をつくれば売れるのではと思っています。

大衆の代表であるべく、普通の感覚を持ち続けるためには、意識的な努力が必要なのです。

(垣内芳文)