およそ物の価値なんてものはその時々で変わるものです。
このポートエレンの蒸留所は1983年に閉鎖されているんですよ。
これなんか当時のスコットランドでは3~4千円で売られていた。だが、昨今のウイスキーブームで幻のウイスキーと呼ばれるようになり、
世界中のウイスキーマニアが今はもう製造できないポートエレンを
高値で買おうと競い合っている。でも、彼らのほとんどは、本当の味なんて分からないでしょう。
では、彼らは一体、何を買っているんでしょうね。
でもじゃあ例えば、そのポートエレンに自我があるとして、
ボトル自身はその希少価値を自覚しているでしょうか?土地も同じですよ。
土地は土地として太古からそこに存在していただけです。
野生動物に縄張りの意識はあったとしても、土地の所有欲はない。人間は本能があらかじめ壊れた動物と言われていますが、
その代わりに知恵を持っている。
知恵が文明を生み出し、生物界の頂点に君臨させ、
そしてこんなにひどい世界を作り上げた。
その最たる愚行が土地を所有したがるということです。
本来は誰のものでもないはずなのに、
人間の頭の中だけで土地の所有という概念が生み出され、
それによって戦争や殺戮を繰り返してきた。人類の歴史は早い話、土地の奪い合いの歴史です。
土地が人を狂わせるんです。だとすれば、土地自身には人間を滅ぼしたいという本能があるかもしれませんねぇ。
(地面師たち)